clarinet piano violin conductor concert hall orchestra

2016年ピアノ演奏会
ウィーン楽派とブラームス
2013年ウィーン訪問 (⇒旅行頁にてやや詳しい紹介)
ウィーン大学、国連都市、オペラ座、楽友協会、そして家内の念願であったウィーン中央墓地(Wiener Zentralfriedhof)訪問。
Beethoven[1770-1827]、 Mozart[1756-1791:遺骨はここには無いが墓標は最優遇されている]、 Schubert[1797-1828]、そして、Brahms[1833-1897]。









Sabine Meyer
クラリネット 材質⇒木 (グラナディラ材 比重1.2→水に沈む)。
普及品はベークライト(フェノール樹脂)
昔はクラリネットもファゴットと同じくカエデで作られていたが、欧州諸国によるアフリカの植民地化の時期と、オーケストラ編成楽器の発展の時期が重なることで、グラナディラを始めとする重い木材を使用するようになる。
複雑なキーシステムが取り入れられた結果、それを支えるために硬くて丈夫な材料が必要になった時期と重なったことによる。
大きく、伝統的なドイツ管(エーラー式)と19世紀半ばからのフランス管(ベーム式)に分かれるが、世界の99%はフランス管。しかし、ベルリンフィルとウィーンフィル【ウィーン・アカデミー式】は音色重視のドイツ管。
今思いかえせば、私の小名浜第1中学校にも小指のキーにローラーがついたエーラー式ドイツ管を確かに1年生の時には見た記憶がある! あまり手入れされておらず、古さのためかいつのまにか片付けられて… 重厚な音色のドイツ管クラリネットに今からでも練習に取り組みたいけれど。。

■「クラリネットのシステムについて」⇒(服部管楽)https://kanngakki.jp/clarinet_history
■ドイツ管 ドイツ式(エーラー式)
【ドイツのプロオケでベーム式を吹いているのは、シュツットガルト放送交響楽団の一人だけ】
ゴイザー、クレッカー、ミヒャエルス、ライスター、S・マイヤー、V・フックス
■ドイツ管 ウィーン(オーストリア)式(「ウィーン・アカデミー式」)
ウラッハ、ボスコフスキー、 プリンツ、 ペーター・シュミードル、 オッテンザマー、
(Peter Schmidl、1942 年1 月10日~2025年2月1日 ウィーンフィル首席 訪日したおりにドイツ大使館での演奏会に行きました)
■ドイツ・ベーム(リフォームド・ベーム)⇒内径や仕掛けはドイツ管、指使いはベーム式
ドイツとフランスに挟まれたオランダで人気、アムステルダム(ロイヤル)・コンセルトヘボー
管弦楽団(ACO)は伝統的にドイツ・ベームを使用。
■クラリネットの歴史:ドイツ
「YAMAHA楽器解体全書」
2 つしかなかったキイが16になった⇒クラリネットは18世紀初めごろ【1700年頃】に、ドイツのデンナー【ドイツ・ニュルンベルクの楽器職人、ヨハン・クリストフ・デナーと息子のヤコブ・デナー】が発明した。
彼の工房がつくったクラリネットはキイが2つでした。その後だんだんキイの数が増えていき、19 世紀半ばに宝石職人の息子でフルート奏者でもあったベーム【ドイツ人(Theobald Böhm, Boehm)】のアイデアを元に【フランスのブッフェ(楽器屋(L. A. Buffet 1885年没))と音楽院のクローゼ教授(H. E. Klose 1808年-1880年)が開発した】、今とほぼ同じ16キイのクラリネットがつくられました。これが今も続くベーム式です。
エーラー式は、モーツァルト、ウェーバー、ブラームスなどの大作曲家が活躍した時代の方式を受け継いだクラリネットです。現在もドイツやオーストリアで広く愛用されています。モーツァルトやベートーヴェンの時代はベーム式が生まれる前で、エーラー式の前身が主流でした。今でもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団はエーラー式を使っています。指使いはベーム式より難しいのですが、伝統的な音がこれらのオーケストラでは重視されています。
ドイツ管の名手たち
アルフレート・プリンツ(Alfred Prinz, 1930年6月4日~2014年9月20日)ウィーン生まれ。
□ウィーン国立音楽アカデミー(現ウィーン国立音楽大学)で、クラリネット科・ピアノ科・作曲科の全ての科を同時に首席で卒業!!!。
□1945年、15歳でウィーン国立歌劇場管弦楽団に最年少団員として入団、活躍。1955年に、師ウラッハの後継者として、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者となる。1995年定年で退団
□ピアニストとしても名声を得、作曲した2曲のクラリネット協奏曲、7曲の交響曲をウィーン・フィルで初演した。
ウィーン・フィルの首席クラリネット奏者
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ペーター・シュミードル(Cl) & 佐々木秋子(Pf)デュオアーベント
「モーストリー・クラシックス2008年10月号」より
ウィーン・フィル首席クラリネット奏者で、2007年からはPMF芸術主幹も勤めているペーター・シュミードル。
今年のPMF終了後、日墺文化協会が主催した演奏会では、近年活躍が著しいピアニストの佐々木秋子との共演。総じて、やわらかい優しさと、深い簡潔に満ちた、楷書体の名演を聴かせてくれた。
前半の3曲 (シューマンの「幻想小曲集」、 ブゾーニ の「エレジー」、ウェーバー の「シルヴァーナ」変奏曲)は、PMFの疲れからか、シュミードルの音色と音程に時折不安がみられたが、後半の2曲では集中力と精度が一転。
ブラームスのクラリネット・ソナタ第2番と、ウェーバーの協奏的大二重奏曲における、いきいきと澄んだ音色とユーモアに満ちあふれた音楽性が紡ぎだす感動は全身的だった。
しかし、当夜の白眉は何と言っても佐々木秋子のピアノ。各作品を深く味わい知りぬいた、聡明でしなやかな語り口からは、室内楽における伴奏の大切さを改めて教えられた。

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ペーター・シュミードルとムジツィーレン! 『音楽の友』 2008年10月号 RONDO(今月のロンド)
ウィーンの香りに包まれた、最高の室内楽の夕べ
ウィーン・フィルの首席クラリネット奏者として、わが国でもファンが多い名手ペーター・シュミードル。2007年からはPMF芸術主幹も勤める彼は、今年のPMF終了後、神楽坂の音楽の友ホールで、近年活躍が著しいピアニストの佐々木秋子や、N響チェリストの村井将らと室内楽の夕べを行った。シュミードルと佐々木は、前日にも渋谷のHakujuHall で見事な演奏を聴かせてくれたが、この夜はそれをさらに上回る素晴らしい内容。それは「室内楽のお手本」と言うべき、筆者にとって今年最高の演奏会のひとつになるであろう、深い感銘に満ちた名演だった。プログラムは、シュミードルと佐々木が弾くシューマンの《幻想小曲集》とウェーバーの《ジルヴァーナ》変奏曲、村井と佐々木が弾くシューマンの《アダージョとアレグロ》。そして3人が弾くベートーヴェンの《街の歌》とブラームスの《クラリネット三重奏曲》という豪華なラインアップ。
持ち前の柔らかい音色とのびやかなテンポで演奏をリードするシュミードルの至芸は、年を重ねた現在も相変わらず流石だったが、それに寸分も遅れず、明晰な楷書体のアンサンブルを形成する村井と佐々木の方に、筆者の耳と心はずっと傾きっ放しだった。その意味で、トリオ2曲とならぶ当夜のハイライトは、清冽と、豊穣と、静寂がバランスした村井と佐々木のシューマン。このデュオの継続と成熟を心から願ってやまない。そんな夜だった。

ヨーロッパと音楽産業
1 代表的ピアノブランド
オーストリア ベーゼンドルファー(Bösendorfer)

ベーゼンドルファーは 「ウィーンの至宝」と言われる。
- 「ベーゼンドルファーの歴史」[http://boesendorfer.jp/about/history.html](2016年5月31日)
- 13世紀後半(1273年)よりハプスブルク家は神聖ローマ帝国の皇帝としてヨーロッパの大部分(現在のドイツ、オランダ、ベルギー、フランス東部、スイス、イタリア北部、オーストリア、チェコ、スロバキアなど)を統治していました。その後、ウィーンは約700年間、首都であり、ヨーロッパ全域より商業、政治、思想、芸術が集まり「太陽の沈むことなき帝国」として華やいでいました。歴代のハプスブルクの君主たちは芸術に対してとても理解が深く芸術家たちを厚く保護し音楽や絵画を育成しました。また、宮廷に召し抱え財政的な援助を行ったため、ヨーロッパ全土の優れた芸術家たちがウィーンに集まってくるようになりました。中でも「音楽」は現在に至ってもヨーロッパのみならず世界の中心地として、音楽を学ぶもの、音楽を愛するものにとって憧れの地であり「音楽の都ウィーン」として今なお、親しまれています。
- ベーゼンドルファー社はモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、リストなど、音楽歴史に名を残した偉大なる作曲家たちを輩出した「音楽の都ウィーン」で、1828年に設立されました。創業者のイグナッツ・ベーゼンドルファーはウィーン生まれの職人で19歳の時、オルガン製造者のヨーゼフ・ブロッドマンに弟子入りし、弟子の中でももっとも優秀な弟子だったと言われています。当初から高品質、高水準で素晴らしい名声を得ており、1839年にはオーストリア皇帝から初めて「宮廷及び会議所ご用達のピアノ製造者」の称号を授けられました。
- その後、演奏会場の大型化あるいはオーケストラの大規模化に対応するためにベーゼンドルファーも他のメーカーと同様に音量増大と楽器の強度の課題に取り組みますが、演奏家と聴衆の「強い音」に対する要求がさらに高まる中にあってもベーゼンドルファーは聴衆の心を魅きつけるピアニッシモに対する意識を高く持ち続け、商業ベースに流されることなく丁寧な手作業による製造を維持し続けてきました。
- ベーゼンドルファーは創業より185年という永い歴史の中で、まだ50,000台しか製造しておらず、現在、年間の製造数は僅かに250台という数字でしかありません。これは、ベーゼンドルファーが伝統的な音色、技術を重視し、いわゆる大量生産ではなく優れた技術者たちが一台、一台、十分に時間をかけて造り出していく「芸術品」であることを表しています。一台のピアノ製造工程にかけられる期間は約62週間。そして調律・整音などの最終調整にかける期間は約8週間。まさに職人たちの魂を込めた業ものであり、現在に至っても世界の人々に愛されつづけている由縁がそこにあるのです。(小さいもので1000万程度、コンサート用で2000万~、特注で1億円)■2008年からヤマハの傘下にある。
- ショパン国際ピアノコンクールの公式ピアノから除外された。→現在の公式ピアノはスタインウェイ(1927~)、ヤマハ(1985~)、カワイ(1985~)、ファツィオリ(2010~)、ベヒシュタイン(2025年復帰)。
三大メーカーの特徴
■主に響板の響きを重視した「ベヒシュタイン」。 ■胴の部分にも響板と同じスプルース材を用い、響きやすくした「ベーゼンドルファー」。
■「スタインウェイ」はそれらに対して、厚く強固な胴でしっかりと響板からの圧を支える構造を持つ。
ドイツ ベヒシュタイン(Bechstein)

ドイツ ベヒシュタイン(Bechstein)
ベヒシュタインは、「ピアノのストラディバリウス」と呼ばれ、リストやトビュッシーが絶賛したように、「ひとつひとつの音が濁らない『音の透明感』と『音の立ち上がりの鋭さ』、そして『響きの強さ』をもつ。3大ピアノメーカーの中で唯一、アップライトピアノにも力を入れている。
2025年のショパン・コンクールにおいて、ベヒシュタインのD-282が50年ぶりに採用された。
イタリア ファツィオリ(Fazioli)

イタリア ファツィオリ(Fazioli)
- 家具職人の息子である創業者・現社長パオロ・ファツィオリが1981年創業。新しいのに世界のトップのひとつ。 手作りで2014年の生産総数は129台(900万~)
- 「音質は、CDやレコードやテレビ放映などでマイクが収録する、いわゆるベストポイントでの音質に近いものです。このベストな音質に対して、ピアノやホール、あるいは演奏者やプロデューサーの好みの音色を加えていくと、良い録音といわれているものになりやすいのです。
- しかしながらこの音質は、高いチケット代を支払って耳にする音とは通常異なります。言い換えるとマイクの設置位置と、耳で実際に聞く音と音色がかけ離れている場合があるということです。FAZIOLIは通常観客が聴くことのできないマイク位置での音質を、客席にいながら聴くことができるのです。
- これは単純に音が良いだけですむような簡単なことではありません。
- 例えばストラディバリウスのバイオリンは、その優れた音質のみならず、会場の隅々までその音が届くという離れ業をこなしているのと同じようなことです。」「FAZIOLIと世界三大ピアノとの違い」より
アメリカとドイツ・スタインウェイ(Steinway & Sons)

スタインウェイ(Steinway & Sons)
ニューヨーク、ハンブルグ
ドイツの家具職人ハインリヒ・シュタインヴェーク(渡米し、Henry E. Steinwayヘンリー・スタインウェイ)
が1836年にグランドピアノを制作した。その後渡米して、1853年NYマンハッタンに、スタインウェイ・アンド・サンズを設立する。息子のウィリアム・スタインウェイ(William Steinway)が、クイーンズ区アストリアにSteinway Villageを構築し現在も本社が置かれている。
■ヘンリー・スタインウェイの死後、1880年にハンブルクにも生産拠点を構築した。
■残響豊かな宮廷などで使われる欧州と異なり、数千人規模の多目的ホールで使うことを前提に音響
工学を踏まえて設計した。
NYスタインウェイとハンブルグスタインウェイの違い
■ハンブルク・スタインウェイ→ 日本やアジア、欧州で購入できるのは、ほとんどハンブルグ・スタインウェイ。 相対的に新しいため、近代化された工場で、精度が高い状態で製造される。ほかのドイツのピアノと同じくハンマーフェルトは硬めである【ドイツのレンナー社!】。 また、外形上の特徴として、鍵盤両端の腕木の角が丸い。→
■ニューヨーク・スタインウェイ→ オリジナルであり、現在でも伝統的な製造方法で製造される。ハンマーフェルトは比較的柔らかいため、整調、整音により、また硬化剤の使用等により、幅広い音色を生み出すことができる。明るい音色であるため、伝統的スタインウェイとしてニューヨーク製を好むピアニストも多い。また、鍵盤両端の腕木の角が直角であることを特徴とする。ペダルボックスに金属装飾が施されている特徴もある。
ニューヨーク・スタインウェイ ハンブルグ・スタインウェイ
私は、2015年12月28日、所沢市役所での長富彩さんのコンサートで、NYスタインウェイの演奏を聴きました。とても素晴らしい「ラ・カンパネッラ」でした。高音部が低音部にまけずにすみずみまでキラキラ響くのがNYスタインウェイという通りの演奏でした。



Shigemi Watanabe